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研究方法

 研究の中心となる①意識調査データ及び投票行動の説明要因となる関連データ(選挙公約・地域特性としての国勢調査・議会議事録)の取得・web化に関しては、研究代表者を中心に研究分担者を含めて基本的な設計及び作業を進めていく。なお、専門性を要しない単純なデータ変換作業を伴う際に、経費節減のために大学院生雇用より安価な場合には外部に委託することもある。また②上記データを用いた分析については、6名のメンバーの共同作業となる。そこでは、メンバーの持つ知識やアイディアが単に並列的に示されるのではなく、学術的な創発性が生ずるような形での共同研究を目指す。

(1)議事録収集システムの更新及び衆参両院議事録データの補充

​ 衆参両院のホームページを通しての議会議事録では衆参両院が別々に切り離されて公開されるため、横串を通した検索ができない。そこで本研究では別々に公開される上記議事録データを自動的に収集した上で一つのデータ・アーカイヴ管理し、一括して検索するようシステムを拡充してデータを補充する。

(2)選挙公約データの収集と分析

 現行システムでは第46回及び第47回衆院選小選挙区及び第24回参院選挙区の全候補者の選挙公報を政策領域に関するコーディングカテゴリーに基づいて分類し、それぞれの政策領域において、各候補者がその政策領域に関する事項を内容分析によりコーディングしたデータを保有している。本研究では、第48回衆院選及び第25回参院選の同様の選挙公報データを補充する。

(3)国勢調査データの補充・拡充

​ 現行システムでは日本の昭和30年以降の全ての簡易調査及び大規模調査の市区町村別・メッシュ別データを保有している。本研究では、まず平成27年国勢調査の市区町村別・メッシュ別データ(1/2メッシュ、1/4メッシュ、1/8メッシュ)を補充する。さらに令和2年国勢調査の市区町村別データを補充する。なお、同国勢調査のメッシュ別データ(1/2メッシュ、1/4メッシュ、1/8メッシュ)の公開が助成期間中に間に合えば、メッシュデータについても補充する。

(4)政治意識パネル調査の実施と分析

 ​次回衆院選となる第49回衆議院議員総選挙に際してJESⅦ第1波調査(全国有権者対象・衆院選事前調査)ならびにJESⅦ第2波調査(第1波調査回答者対象・衆院選事後調査)によるパネル調査を実施する。設問は従来のJES調査を継続する設問に加えて前述の研究目的に則した設問を加えて計100問程度となる。令和4年に実施される第26回参議院議員選挙に際してJESⅦ第3波調査(第2波調査回答者+補充用全国有権者名対象・参院選事前調査)ならびにJESⅦ第4波調査(第3波調査回答者対象・参院選事後調査)によるパネル調査を実施する。設問は従来のJES調査を継続する設問に加えて前述の研究目的に則した設問を加えて計100問程度となる。令和5年に実施される統一地方選挙に際してJESⅦ第5波調査(第4波調査回答者+補充用全国有権者名対象・統一地方選事後調査)を実施する。設問は従来のJES調査を継続する設問の内、地方政治に関する設問と前述の研究目的に則した設問を加えて計70問程度となる。

(5)選挙結果データの補充・拡充

​ 現行システムでは昭和24年の現憲法下での第一回衆院選以降の全ての衆院選及び昭和22年の第一回参院選以降の全ての参院選の市区町村別・候補者別及び政党別データを保有する。本研究では、次回衆院選の第49回衆院選、令和4年に実施される第26回参院選、次々回衆院選の第50回衆院選の市区町村別・候補者別及び政党別データを補充する。

 

(6)選挙公約データの収集と分析

​ 現行システムに第49回衆院選小選挙区の全候補者、第26回参院選選挙区の全候補者、第50回衆院選小選挙区の全候補者の選挙公報データを補充する。

(7)多角的データの融合による選挙研究から民主主義研究への進化

​ 意識調査に留まらず、国会議事録や候補者の選挙公報のデータを多角的に融合して分析することで、従来、別々に行われていた選挙研究、議会研究、選挙公約研究を「代議制民主主義の機能研究」として融合することで、選挙研究から民主主義研究へ進化させる。具体的には、国政選挙で当選した政治家が次回当該国政選挙までの間に国会で当選時の公約通りの活動をしているかどうかを検証するために、同期間における全ての本会議及び全ての委員会の議事録を収集し、関連法案への投票ならびに質疑や答弁などの発言を選挙公約の内容分析で用いた項目に則して同様に内容分析する。さらに、国会議員一人一人について、当選時の選挙公約の内容分析の結果と当選後の当該院の本会議及び全ての委員会における法案投票や発言の内容分析の結果を照合することで、両者の間の一致度を測定する。

 

(8)AESシンポジウムの開催

​ 本研究組織は20年前から台湾国立政治大学選挙研究センター及び韓国選挙学会と投票行動に関する国際共同研究(Asian Electoral Studies)を行っており、米国ミシガン大学出版などから共著を刊行してきた。令和3年の衆院選の分析を踏まえて令和3年10月に日本でAESシンポジウムを開催して、新たな国際共著出版を目指す。さらに、研究期間を通した総合的分析を踏まえて令和6年10月に日本でAESシンポジウムを開催して、さらなる国際共著出版を目指す。

(9)知的資産の国際的発信

​ 国外の諸研究機関に所属する研究者に対し、より利便性の高い知的資産を提供するため、各種情報の英文化を進めて公開していく。一部を除く意識調査データについてはすでにコードブックの英文化を終了しており、残りについても英文化を進め、国際的にも学術的価値の高いオープン・データ化を推進する。

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